思えば、子供の頃から胃腸は弱かった。試験前にはよく下痢をしたりしたものだ。高校生の夏休みには難治性の下痢になり、毎日整腸剤を飲んでいたのを思い出す。私の実家は薬局だったので、整腸剤は豊富にあった。暑いトイレの中で大汗をかきながら、「何か悪いものでも食べたのだろうか」と悩んでいた。その時が本当の発症かどうかはわからないが、その後も頻回な軟便に苦しめられていた。
自分で勝手に過敏性大腸炎の診断をつけ、過敏性大腸炎用の内服薬を試してみたこともあった。当然全く効果は無かった。今は本当に反省している。食事では、特に油物を食べた後に具合が悪くなり、胸焼けや嘔吐も生じるようになった。自分では歳のせいだと思っていた。
今年のゴールデンウィーク頃には身体が異常に重く感じた。病院の階段を登るのに息が切れ、足が上がらない。微熱もあった。採血をしたところ、貧血と低タンパク血症。炎症反応も陽性。原因がわからないまま、数週間後に再度採血の検査を行った。貧血と低タンパク血症が悪化している。ダイエットしているわけでもないのに、体重は2kg減少した。頭の中に「癌」の文字がよぎった。
この頃になってやっと消化器内科の同僚に相談してみた。早速大腸内視鏡を勧められた。本当はかなり嫌だったけど、体調は明らかに悪化しており、選択肢は無い。おそるおそる検査を受けて、クローン病と診断された。癌ではないとわかった安心感がわき起こったが、また別の大きな不安感が押し寄せた。
今後の生活はどうなる?仕事はできるのだろうか?収入は確保できるか?家族はどうなる?保険は十分入っていただろうか?食事はできるのか?
目の前が真っ暗になった。ステロイドのせいなのか不安のせいなのかわからないが、まともに寝られない。すぐに目が覚めては、「夢か?」と思う毎日が続いた。
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